——ミッション刷新に至った経緯についてお聞かせください。
津田:2つの要素があります。1つ目は「さらに成長したい」。そして、もう1つは「自分たちが何者なのかをあらためて定義する」ためです。
24年度はアンドデジタルの新たな中期経営計画3か年の初年度であり、そこに向けて経営体制の変革や事業自体のブラッシュアップを行ってきました。また、7月1日はアンドデジタルが生まれて3年という節目です。これまでの3年間をふりかえり、より飛躍的な成長を遂げるため指標となるものを作りたいと思っていました。これが1つ目の「成長したい」です。
——2つ目の「自分たちが何者なのかを定義したい」の背景はいかがでしょうか。
津田:アンドデジタルは、ビジネスモデル上、自分たちが何屋なのかの説明が難しいんです。データやインテグレーションなど横文字も多く、お客様である中堅・中小企業のお客様に説明しづらいという課題がありました。
領域としてはDXと呼ばれているのですが、DXは広義の言葉のため結局わかりやすい説明にはなりませんし、我々がどのような想いでやっているのかも伝わりづらい。
社外への説明が難しいと感じていたことに加え、社員自身も、自分たちの存在意義や使命って何だろうと感じている節がありました。そこで、このタイミングでミッション、ステートメントを刷新し、自分たちが何者で、どのような使命を持って仕事をしていくのかをしっかりと定義したいと思ったんです。
※DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセス
——新たな3か年に向けて刷新することを決めたあと、どこから着手したのでしょうか。
畠中:最初に行ったのはミッション合宿でした。あえて合宿にしたのは幹部陣にとってアンドデジタルの使命や存在意義は何なのか、自分達らしさを出しながら社会のニーズにどう答えていくのかなど、整理する時間を持つ必要があると考えたためです。
もともと役員3人は仲が良く、ふだんからコミュニケーション頻度も高いほうだと感じていたのですが、日頃のミーティングの内容はプロダクトづくりや営業活動についての話が大半で、「その先にどういう未来を描いているのか」といった内容について話す機会がないのでは?と疑問がありました。
そこで、ある日のミーティングに参加し、会社のコアバリューやアンドデジタルらしさについて尋ねてみたところ、根本的なところは重なりつつも、出てくる言葉は割と別々で、かつふわふわしていたんですね。そのため、まずは3人の価値観のすり合わせをすることを目的に、合宿をしようと提案をしました。
津田:もっとゆとりのある時間になるかと思いきや、ガチガチの合宿でした(笑)。
畠中:「アンドデジタルがこの世からなくなったらこの世界はどうなるのか」「今までの仕事で印象的だったものは?」など、仕事の価値観についてあらためて話せるいい時間になりましたね。
津田:常に業績を伸ばすことばかり時間を使っていたので、目指していく世界観をあらためて言語化してみることで、「あ、2人はそういうことを考えていたんだ」「言葉は違うけど、根本の考えは同じだな」と感じられました。ただ、一定レベル以上に細かく言語化しようとしてこなかったため、自分たちもふわふわした状態で進んできたんだなということにもあらためて気付けましたね。
畠中:ある程度の目線合わせは終わったのですが、この想いを世の中に伝えて、ファンになってもらうための核になるキーワードに落とし込むには、まだ道のりがあると感じました。そんな言葉を生み出すためには専門のチームが必要だと考えていた時期に、鷹觜さんが23年12月からソウルドアウトのパートナーとして参画する話を聞き、早速メッセージを送らせていただいたんです。