ー最初に、みなさんはこれまでどのような事業に携わり、再生や創造の必要性を感じて来られたのか教えてください。
朴:私は、経営難や後継難に陥った会社の事業再生を支援しています。支援しているのは主に中小製造業で、約2年間で9社を買収し、グループ化して事業を改善してきました。前職は大企業で働いており、出向して地方の中小企業を支援する仕事を経験しました。そこでデジタル化やマーケティングといったことに課題を抱えた、オールドエコノミーのままの中小企業の現状を知り、支援の必要性を感じたんです。生き残っていくためには、オールドエコノミー領域である中小企業にある素晴らしい人・技術・ノウハウを活かしながらも、ニューエコノミーの活躍しつつある21世紀において持続可能な中小企業に変わっていく必要がある。だから、コミュニケーションを取りながら泥臭く、企業が変化していくためのハブになりたいと思っています。
嶋根:私は転職した会社で新規事業を任されたことがきっかけで、新規事業に関わり始めました。2012年から、孫泰蔵さん※2と一緒にインキュベーションプログラムを立ち上げ、50社ほどに投資しました。
ただ、たくさんのスタートアップに投資していくうちに、個別の投資の積み重ねだけで社会の課題解決に繋がっていくのかどうか、疑問に感じ始めました。そこで、世の中に必要な事業の芽を考えながら、課題感や価値観をお互いに共感できる人と将来一緒にやっていきたいと思い、ファウストビートを作ったんです。社会にある課題を解決するために、新規事業は重要だと思っています。
荒波: 私はこれまで前職も含めて新規事業を支援する立場として関わってきました。前提として、そもそも会社には新陳代謝が必要だと考えています。カルビーを躍進させた松本晃さんは「Change or Die」と話していますし、私の前職ヤフーで当時社長を務めていらっしゃった宮坂さん(現東京都副知事)も「脱皮しない蛇は死ぬ」とよく言っていました。私はソウルドアウトとして新規事業に取り組む意義は大きく3つあると思っています。1つは、そもそも、新しいことに取り組まない、つまり、変化しないということは退化であるということ。2つ目は儲けないことには理念の実現もない。どうやって儲けるのか、しっかりと向き合って考えることは大事であるということ。3つ目は、新しいチャレンジは人を成長させるということです。そのため、ソウルドアウトグループでも新規事業に取り組もうとしています。
荻原:僕にとってはソウルドアウトをつくったことが事業の創造そのものです。変化する社会の中で戦う経営者を助けたい。デジタルマーケティングで企業の稼ぐ力を養い、全国で雇用を生み、地方創生に繋げたい。そう思って事業を始めました。まず最初に事業のドメインを定めることは非常に大事だと思いますね。
これまで、全国の優秀な中小・ベンチャー企業の社長さんを見つけて支援してきました。これからは、例えば「稼ぐ力を養う」という文脈だと、フリーランスが増えている社会背景を元に個人事業主にもサービスを提供できるかもしれません。地方活性化という文脈だと、培ったマーケティングの力を使って自治体のインバウンドを支援できるかもしれないですよね。HR領域に新しい事業の可能性はあるでしょう。ミッションに紐づいていれば、そんな風に事業ドメインを拡張してもいいと思っています。社員と一緒にそんな事業をできたら嬉しいですね。
※2:「孫泰蔵氏」ソフトバンクグループCEOの孫氏の弟で連続起業家・実業家・投資家