ミッションの達成へ、成長を加速化させる。人財の活用と専門性の向上が2019年の鍵。
2018年3月に取締役COOに就任し、プラットフォーマーとの関係強化や既存事業の伸張に尽力してきた荒波修。2018年の1年間を総括し、2019年の展望を語ります。
人材が一番の資産
ーはじめに、荒波さんが取締役COOに就任されてからの役割や感じたことについて教えてください。
昨年3月にソウルドアウトのCOOに就任し、5月から正式に入社しました。最初に、社長の荻原と、色々なことを2人で話し合いながら決めていこうと、話をしていました。その中で、基本的には荻原がお客様との向き合い、会社の文化や組織づくりを。私がメディアやプラットフォーマーの方々との向き合い、既存事業で結果を出すことをメインにやろうと役割分担をしました。自分にとっては新しい会社でしたが、会社の理念や社員に求めていることなどに対して荻原に100%同意していたので、違和感なくすっと入ることができましたね。
私はプロパーではない人間なので、まずはしっかりと社員のみんなの話を聞くところから始めました。事業のコンディションを見極め、戦略を構築して中長期の飛躍に繋げたいと考えたためです。
話をする中で感じたのは、素敵な社員が多いということでした。企業理念に賛同する熱くて優秀な人たちが集まっているから、これだけ素晴らしい会社ができているんだろうなと感じましたね。そのことを1番の資産と捉え、いかに会社を伸ばしていくかを1年近くかけて考えてきました。
ー2018年はどんなテーマを持って、施策を打っていきましたか。
基本的には、2017年までにやってきた地方、中小・ベンチャー企業の売上増に向けての取り組みを踏襲し、他社との連携などを通してさらに事業を伸ばしていこうという形でやってきました。
既存事業に関しては、地方のインターネット広告比率は東京や首都圏に比べてまだ圧倒的に低いという現状があるので、これまでの路線を踏襲してもまだまだ伸びしろがありました。夏前に宮城県の仙台市に、ソウルドアウトで東北初となる営業所をつくることもできました。足元の業績を睨みながら慎重に検討しつつ、地方への出店を進め、引き続き地方のお客様の支援にフォーカスしていきたいと思っています。
また、隣接領域への事業拡大も一つのテーマでした。これまでソウルドアウトが得意としていたのは、インターネット広告における獲得数の最大化でした。しかしこれだけだと、段々と見込み客を刈り取り尽くしてしまいます。そこで今年から、一定の売上を上げて成長したお客様に対しても、並行してお手伝いしていけるようにしました。
具体的には、広告の隣接領域であるPRやブランディングなど、ベクトルさんなどと連携しながら新しい取り組みを始めています。すでに成果も上がってきているので、引き続き注力していきたいと思います。
プラットフォーマーとの関係を強化し、成果を還元する
ー荒波さんご自身は、特にどの領域に注力されてきましたか。
注力したことは、主に2つ。まずは新卒採用です。入社当初は面接を繰り返していました。応募者の傾向としては、広告に関心があるというよりも「地方を元気にしたい」という思いがある優秀な学生が多かったですね。ソウルドアウトは若手が多く活躍している会社で、その中でも2013年から始めた新卒採用で入社した層がバリバリ活躍してくれるようになっています。今年は最終的に40人強に内定を出すことができ、今後に向け非常に楽しみな採用ができましたね。
もう一つがメディア、プラットフォーマーとの関係強化です。ソウルドアウトグループはとにかく顧客志向で、広告主にしっかり向き合ってきた会社です。そこをぶらすつもりはありませんが、一方で成果をあげるためにはメディア、プラットフォーマーの皆さんともしっかり向き合って、例えばそれぞれのメディアごとの特性や、効果的な成果の出し方などを知っていく必要があります。それによって、結果としてお客様にもより良い結果をもたらすことができるようになる。この循環は絶対に必要だと思うんです。そのため、様々なメディアの皆さんとしっかりお付き合いするようにしました。
インターネット広告のいいところは、予算をたくさん持っている企業だけでなく、地方、中小・ベンチャー企業のお客様も出稿できて成果を得られるところだと思うんですよ。しかし現状は、東京の一部の広告主さんにしかその良さが行き渡っていません。メディアの皆さんも、もっと地方の広告主さんを開拓したいとは思っているのですが、8〜9割が東京の広告主さんで、なかなか地方の開拓まで手が回らないのが現状です。一方で地方のお客様は、これまで既存のマスメディアを使われる方が多かったですが、スマートフォンの普及などとともに徐々に変わってきています。インターネット広告の領域でまだまだ伸びしろが大きいんです。ソウルドアウトでは、地方のお客様とメディア、プラットフォーマーとのつなぎこみの部分をお手伝いできればと思っています。
この1年やってきて、プラットフォーマーとの関係強化によってお客様により良い成果をもたらす循環が、少しずつ回り始めた手応えを感じていますね。
さらなる成長の加速化へ、社内外の基盤の整備を
ー2019年は、どんなテーマに注力していきたいと考えていらっしゃいますか。
大きく4つ考えています。1つ目はプラットフォーマーの皆さんとの関係をより強固にすることです。現在は、各プラットフォーマーが様々なサービスを開発している中で、それぞれの専門性や特徴、出てくる成果が細分化されてきています。それに伴い、各サービスに精通した専門家が必要になっています。お客様の要望に応えられるよう、そうした専門的な知識を学び還元できるようにしたいですね。
2つ目は、自社サービスやプロダクトの伸長です。今も、ソウルドアウトグループのテクノロジー支援会社のテクロコを中心に開発を進めていますが、これまで以上に伸ばしていきたいですね。ソウルドアウトはこれまで広告代理業を大きな柱としてきましたが、これに加えて自社サービスやプロダクトをもう一つの大きな柱にしたいと考えています。インターネット広告の運用管理プラットフォームである「ATOM(アトム)」など既存のサービスに加え、新サービスも展開していきたいです。弊社は全国に拠点があり、お客様から直接ニーズをお伺いできるのが強み。それを開発側にフィードバックすることで、ソウルドアウトグループならではの展開を目指していきたいと思っています。
3つ目は、社内基盤の整理です。ソウルドアウトは2017年に上場させていただいてから、業績は堅調に伸びてきています。ここからさらに成長を加速させていくためには、より一層の社内の基盤整備が必要だと考えています。2019年に新入社員が入ってくると、社員数300人を超えるグループになります。社員同士で顔と名前が一致しないような状況になった時、お互いを理解し合えたり、コミュニケーションを取りやすくなったりするようなツールも必要になると思っています。そういったITの部分や、人事制度に関して、基盤を整えていきたいですね。また、社員の皆さんが日々高いモチベーションを持って働いてもらえるような、組織を活性化するための仕組みづくりにも取り組んでいきたいです。
最後は、ソウルドアウトの理念に共感してくれる仲間を増やすことです。これまでソウルドアウトは基本的に自社の努力で成長を続けてきました。しかしここからさらに成長スピードを加速するためには、場合によってはM&Aなどの手段を考えていっても良い段階にきていると考えています。仲間を増やし、理念の達成に向けて進んでいきたいですね。
「先駆者魂」を忘れず、挑み続ける1年に
ー最後に、2019年の1年間で成し遂げたいこと、目指すべきゴールを教えてください。
究極のゴールはミッションやビジョンを達成することだと考えているので、単年度のゴールは一つの道しるべに過ぎないと考えています。ただ、その道しるべを毎年しっかり達成することが、究極のゴールに到達するための一番の近道なのかなと思います。そのため、最終的なゴールはしっかり念頭におきながら、単年度の数値計画をしっかり達成していきたいと思っています。
また、グループの社員のみんなが、このグループで働けていてよかったなと振り返ってもらえるような1年になれば、自分としては合格かなと思います。おそらく、社員のみんながそう思ってくれているということは、お客様にもいいサービスが提供できて、ご満足いただけている状態だと思いますので。社員の満足度は自分の中の、一つの評価指標にしたいですね。
それから、単年度のゴールだけでなく挑戦をすることを忘れずに1年間進んでいく姿勢も大事だなと思っています。荻原はよく、「先駆者魂」という言葉を使います。「誰もやったことがないことにチャレンジすることに意味がある」と。どの会社もやったことがなくても、お客様が求めていることに、ソウルドアウトは、どんどんトライしていきたいと思いますね。守りに入った瞬間に会社はダメになると思っているので、常に攻めの気持ちを忘れず、アクセルとブレーキのバランスをとりながらチャレンジし続けていきたいです。