うどん文化の担い手になりたい。創業90年のうどん屋の後継ぎ息子が、想いを紡ぐ。

仲間・文化
2022.04.01
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2020年3月末、新卒で入社したソウルドアウト株式会社を退職した三好陽季。実家である、創業90年のうどん屋・日の出製麺所の四代目となった。「いつか家業を継ぐ」と言って入社した三好に、家業のこと、これからやりたいことを聞いた。

三好 陽季(みよし はるき)
日の出製麺所 四代目
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三好 陽季(みよし はるき)
2018年ソウルドアウトに新卒で入社し、大阪営業所に配属。アパレルから文具メーカーまで幅広い業種におけるネット広告を担当。2021年3月末にソウルドアウトを退社後、実家である「日の出製麺所」の四代目として、うどんの製麺と経営面に携わる。

「将来はうどん屋」と言われて育ち、経営に必要なことを逆算して進路を決めてきた

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―入社から現在までのご経歴を教えてください

2018年の新卒としてソウルドアウトに入社しました。3ヶ月間の研修が終わった後は大阪営業所に配属され、アパレル企業や文具メーカー、EC事業などさまざまな業種のネット広告を担当させていただきました。2021年3月末でソウルドアウトを退社し、現在は実家の製麺所で働いています。

―ご実家の店を継ごうと決めたのはいつからですか?

実家は香川県で「日の出製麺所」という、うどんの製麺所を営んでいます。子どもの頃から「うどん屋の息子」と呼ばれ、祖父からは「一緒に働くぞ!うどん作るぞ!」と言われて育ちました。高校時代は野球漬けの毎日を送っていましたが、高校3年生の夏に部活を引退してから「うどん屋を継ぐこと」を本格的に決心。周囲にもその意思を伝えて、「うどん屋を経営するために必要なことを学ぼう」と大学・就職先などを決めました。

面接で感銘を受け、ソウルドアウトへの入社を決めた会長の言葉

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―ソウルドアウトへの入社を決めた理由は?

就職活動を始めた当初は金融会社やうどん作りには欠かせない製粉会社への就職を検討していました。しかし「この時期じゃないと学べないことはなんだろう」と考えた結果、「ネットで物を売る力は、今の実家にノウハウがなく、自分自身にも足りないところだ」と思い至り、最終的にデジタルマーケティングを学べる企業を目指すことに。ソウルドアウト入社の決め手は、最終面接の際に荻原会長と話をする機会をいただけたこと。仕事には関係のない野球やうどんの話で盛り上がり、「うどん屋を継ぐことが前提ですが、いいのでしょうか?」と正直に聞いたときに、「大丈夫だよ。うちで学んでいきなさい」と受け入れてくれた懐の大きさに感銘を受け、「ここしかない」とすぐに決断したのを覚えています。

―ソウルドアウトの仕事の中で学んだことや気付いたことを教えてください

デジタルマーケティングのノウハウはもちろんですが、仕事の中で一番学んだことは「企業側の意識改革」の重要性でした。売り上げを伸ばしていくためには、企業側とマーケティングのサポートをする側の双方が信頼関係を築き、「一緒に伸ばしていこう」と同じ方向を向いて考える必要があると。それは、企業側の立場になった今の自分も意識していかなければならないと思っています。
 

店舗・自社ECサイトに買いに来てくれるお客さまを第一に。EC事業の促進を目指す

―現在のお仕事について教えてください。

実家の「日の出製麺所」では、店舗は11時半から12時半の1時間のみの営業です。あとは製麺所として、百貨店やスーパー、社食や学校給食、おみやげ屋などにもうどんを卸しています。実はECサイトの導入は早く、20年前から始めていますが、リニューアルなどはしておらず、上手く活用できていないのが現状ですね。Amazonや楽天など、大手サイトでの販売は行わず、これからも自社ECサイトでの販売にこだわりたいと考えています。

―大手サイトでの販売を考えていないのはなぜでしょうか?

 「自分たちの手で売りたい」という思いが強いからですね。店舗でも自社ECサイトでも、直接「日の出製麺所」に買いに来てくれるお客さまを一番大切にしたいと思っています。まずは自社ECサイトを確立して、海外展開・越境ECなども目指していきたいですね。

―ECをもっと活用をするために進めていることはありますか?

 少しずつですが、ECサイトのリニューアルを進めています。ただ、社長である父も今まで20年間、ECサイトを続けてきたという自負があり、「こう変えた方がいい」と伝えるといつも揉めてしまって…。最終的には「うどんもろくに打てないのに余計なことを言うな!」と怒鳴られてしまうことも。しかし、会社の経理を担当している母の助けもあり、年明けにはリニューアルする予定です。

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―ソウルドアウトで学んだノウハウを活かして、家業に取り入れていることを教えてください。

業務のDXを徐々に進めています。今まで実家での発注作業は、注文を受けてから、PCで管理している在庫状況を集計してわざわざ紙に書き起こすことから始まっていました。最後は母が頭の中で把握している分を発注するというやり方で、さすがに母の負担も大きく、効率化していかなければいけないと。しかし、業務のやり方を一気に変えてしまうと抵抗感が出てきてしまうのも難しいところ。会社の事務員にもデジタル管理が便利だと感じてもらえるようにスプレッドシートやLINE WORKSから、少しずつ導入している状況です。ソウルドアウトでは、デジタルマーケティングの知識・ノウハウを学ぶことができましたが、それ以上に「コミュニケーションの大切さ」を教えてもらいました。年齢が倍以上離れている方と接するときにも意識しているポイントです。コミュニケーションという土台があり、信頼してもらうことができたからこそ、デジタル管理の導入ができたのだと実感しています。

実家で働いているからこそわかる“後継ぎ“ならではの悩み

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―今後の目標を教えてください。

やりたいことは本当にたくさんありますが、特にこの2~3年はEC化率を上げて行きたいですね。現状、ECでの販売は全体売り上げの3~4%なので、これを20%くらいまで伸ばしたいと思っています。また、アフターコロナでは日本だけでなく海外でもポップアップショップを展開し、より多くの人に「日の出製麵所」を知ってもらい、将来は海外でも「うどん」のブランドを定着させていきたいですね。そのためにECサイトもリニューアルして外国語対応するなど、住んでいる国や地域に限定されず、多くの方に「日の出製麺所」のうどんを購入していただけるになりたいです。

―これから就職を控える「二代目」や「後継ぎ」の方にメッセージをお願いします。

実家に戻ってから気づいたのですが、「後継ぎ」だからこそ抱えてしまう悩みを感じています。それは「壁打ち相手がいない」こと。私は今、従業員として働いていますが、後継ぎという立場もあり他の従業員と対等な関係性になることはどうしても難しいです。そして家族経営のため上司は親であり、なかなかフラットに自分の悩みを相談できる相手が周りにいません。ソウルドアウト在籍時は同期や同僚、上司など、互いに高め合いながら相談できる人たちにとても助けられていたと、あらためて感じますね。いつでも相談でき、互いを鼓舞しあえるような存在を一人でも多く作ることが大切と痛感しています。

パンくず

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