━デジタルマーケティングが根付いていない、コミュニティがないなどの課題がある中で、まずは何から始められたのですか。
まずは、始めから金額の大きなお取引を持ちかけるのではなく、「10~20万円で試してみませんか」とお話しすることにしました。それでも厳しい場合は、無償で広告運用に有益な情報をお渡しするようにしました。
デジタルマーケティングに関心が無かったり、ITの導入に抵抗があったりするお客様もいますが、導入が難しい一番の理由は価格です。札幌だと広告費として使える予算が数十万円で精一杯のお客様も多く、デジタルマーケティングにそもそも予算が割かれづらい状況がありました。この状況からデジタルマーケティングを普及させるには、時間をかけて市場全体を押し上げていくしかないと思ったんです。
ほとんどのお客様が地場の代理店さんとお付き合いをされていたのですが、地場の代理店ではなかなかカバーしきれないサービスを提供したり、東京の最新のビジネス情報や、自社の最新事例などを共有したりしました。この情報はお客様にとって希少価値が高く、かなり喜ばれました。
あとは、元々運用コンサルタントをしていたので、運用面で困っているお客様には、アカウント構成などを見ながらアドバイスなどもしていました。
北海道のお客様は、結構シャイで内向的な方が多いので、よそ者が行ってもなかなか信用していただけないんです。まずは、情報提供や自分ができる範囲で成果を出すことが信頼獲得につながると信じて取り組みを続けました。
その結果、お取引いただける企業様が増えました。情報共有を続けていた広告担当者様から、転職先で仕事をご依頼いただくこともありました。地道な努力が実を結んだケースで、とても励みになりました。
━大きな課題であった地場のつながりは、どのように築いていったんですか。
2016年の2月に、地場の広告代理店の懇親会に参加したことが大きかったです。東京のビジネス情報を惜しみなく話すことで、地場の情報コミュニティに加わることができました。
また当時の上司より、代理店だけでなくそのお客様も集めて、デジタルマーケティングの啓蒙活動を構想していたことを聞きました。これはやるしかないと思い、知っている限りの代理店に協力してもらって、月1回の勉強会を開催することにしたんです。
2016年の5月から始めて全8回、Web広告の初歩的な内容から、東京のパートナー企業の方に登壇いただく発展的な内容まで、幅広く実施しました。数回で飛躍的にITリテラシーが高まる訳ではありませんでしたが、いくつかの企業様にデジタルマーケティングに関心を持っていただけたのではないかと思います。事実、この勉強会以降、デジタルマーケティングの分野でちょっと気になったことがあると連絡をくれるお客様が増えました。
また、勉強会後の懇親会がとても重要で。地場の情報を交換し合い、代理店同士の交流も深めることができました。地場のマス代理店さんからはWeb領域をお任せいただくなど、お声かけいただくことが増えました。