ーまずは御社の事業内容を教えてください。
産業用の無人航空機ドローンの機体構造の研究開発を行っています。もう少し簡単に説明すると、機体そのものの製造ではなく、特許を中心とした知的財産の開発、ライセンス管理を行っています。コアとなるのは「4D GRAVITY®︎」という独自の重心制御技術で、分離結合構造とも呼ばれます。プロペラやモーターなどの飛行部と、カメラや荷物などの搭載部を物理的に切り離すことで、機体バランスが安定するのが特徴です。身近な例で言えば、出前で食べ物や食器を運ぶのに使われている岡持ち(おかもち)が傾かない原理と同じです。
軸がぶれずにバランスが安定すると、壁や天井に張り付いたり、ドローン同士を合体させ上空でバッテリー交換ができたりと、これまで難しかった動きも可能になり、幅広い用途開発が可能になります。これまでも重心を安定させるための技術開発は進んでいましたが、どれもソフトウェアで制御するアプローチでした。それに対して我々は、機体フレームなどハードの面から抜本的な技術開発を進めました。実はドローンの機体フレームは30年前の登場以来変わっておらず、だからこそチャンスだと思ったんです。
ーグローバルで競争が進むドローンの分野ですが、市場はどのような状況でしょうか。
ドローン市場においては中国のDJI社のシェアが圧倒的で、今さら他の会社は勝てないと言われていました。ただ、DJI社と我々とでは狙っている市場が全然違うと思っています。DJI社は家庭用ドローンの販売がメインで、特に撮影機能に特化した機体を作っています。コンパクトな機体で操作性も良い反面、産業利用するには課題があると言われていました。
一方我々の技術を組み込んだドローンは、機体の傾きに対して安定した飛行が可能で、産業での利活用がメイン。DJI社の狙う市場とエアロネクストの狙う市場とでは求められる性能が全く違うのです。