みんなで決めた指針があるから、迷わない。 次のステージに挑むための、ミッションステートメント|株式会社カズマ様
企業の数だけ課題があり、ストーリーがある。「WORKS」では、中小企業が課題を乗り越えたストーリーを、伴走者であるソウルドアウトとの対談形式でお届けします。第1回は、北海道でコンタクトレンズのECサイトや実店舗を運営する株式会社カズマEC事業部本部長の玉川宣之さんと、北海道出身のソウルドアウト株式会社執行役員の北川共史さんにお話を伺いました。
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次のステージへのジャンプアップに必要なこと
ーお二方が一緒に仕事をすることになったきっかけを教えてください。
北川:2013年の10月頃に、弊社の札幌営業所を立ち上げたんです。
僕自身が札幌出身ということで、非常に思い入れがありました。ただ、気持ちとは裏腹に、北海道にはWeb広告を積極的に展開する企業が予想以上に少なく、苦しんでいました。そんな時、2014年の4月に紹介経由で、初めてカズマさんにお会いしました。
玉川:当時、コンタクトレンズのEC化が急激に進んでいて、うちは楽天やYahoo!などのプラットホームに多店舗展開しながら、自社メディアも立ち上げていました。それまでずっと内製志向でやってきたんですが、広告の運用がどんどん増えて、間に合わなくなってしまったんです。
そこで、代理店にお願いすることに決めて、ソウルドアウトさんを紹介してもらいました。札幌に営業所があってリテラシーが高いというのが決め手でしたね。
ー一緒に取り組んだ施策の中で、最も印象的な事例を教えてください。
玉川:弊社のミッションステートメント策定に取り組んだことです。
会社として、フェーズが変わる過渡期だったんですよね。少子高齢化でコンタクトレンズの市場も先が見えてきていて、さらに商品やサービスもコモディティ化して差別化が難しい。扱っていたメーカーの戦略や意向で販売の方針が左右される。事業は成長しながらも、うちの会社はどこに向かっているんだろうという迷いがありました。
そこで、改めて会社が向かう先を示すため、ミッションステートメントを作ろうと考えたんです。しかし、いざ作ろうとすると、メンバーの想いを引き出したりまとめたりするのがとても難しい。どうすればいいかわかりませんでした。
そんな時に、北川さんがミッションステートメントを一緒に作る提案をしてくれたんです。
北川:ある程度の規模まで会社が成長した後に、次のステージへ進むために方向性を明確にしたいという企業は多いんですよね。プロダクトや経営者のカリスマ性で伸びてきて、そこからまた成長するとなったときに、指針がないと社員も迷ってしまいますし、優秀な社員の採用もできません。
会社として次のジャンプアップを実現するために、ソウルドアウトとしてもミッションステートメント作りの支援を始めたタイミングだったんです。
丁寧に話し合い、心の底から出た想いを拾う
ー具体的に、どんなプロセスで作っていったのでしょう。
北川:まずビジョン、次にミッション、最後にバリューを作るという順番で進みます。
社員の選ばれたメンバーでチームを作り、社会的にどういうインパクトを出していきたいかを、対話しながら作り上げていきます。最初はみなさん緊張で硬かったですよね。
玉川:そうですね。でも、会社をどうしたいのかだんだん煮詰まってくる中で、本音が見えてくるのを感じました。その過程で、社員の声が意外と聞こえていなかったことがよくわかりましたね。部署間のつながりはある方だと勘違いしていたんですが、第三者を介することで、普段聞けないような意見が集まりました。
北川:回を重ねるごとに、みなさんの一体感や言葉の質が変わっていく感覚がありましたね。毎回話し合いの後に食事会をすると、楽しそうに会社の未来を語る姿が増えてきたんです。それがすごく印象的でした。
ー特に苦労したことは何ですか。
玉川: いくら意見をすり合わせても、なかなか社員の総意にはならないところが難しかったですね。各チームが作ったミッションを一つに統合し、一つの文章に落とし込むんですが、それぞれ想いを持って作っているので、流れている空気は一緒でも、細かいニュアンスが違うんです。それをどう可視化してまとめるか悩みました。
最終的には、ソウルドアウトでブランディングを専門とする美濃部さんに、「それだ」と納得できる言葉にうまくまとめてもらいました。
北川:会社のことがよくわかっていて、思いが強い人の声は必然的に強くなりますよね。話し合いを進める上では、出すぎないよう、消さないよう、バランスに気を付けています。
あとは、いかに心の底から出てくる言葉を拾えるかがポイントですね。コミュニケーションを重ねた上で、社員が大事にしていること、外から見ていいなと感じることを、融合できるように注力しました。
玉川:自分たちを客観視するというのは、自社だけではなかなか難しいですね。
北川:ミッションステートメントは、トップがその必要性をどこまで認識するか、そして社員が会社の中核を担っている自覚を持ってそのプロセスに参加できるか、の二点がすごく大切です。カズマさんの場合は二点とも揃っていたので、スケジュールの滞りもなくいいものができました。
ーどんなミッションステートメントになったんですか。
玉川:「生きるをずっと、心地よく 100年間、やさしく、つよくいられますように。」です。
昨年の10月に策定が終わり、年末の社員総会で発表しました。社外の役員には、「今まで山賊の集まりみたいだったのに、ようやく会社らしくなったね」と言われました(笑)。
ミッションステートメントができたことで、まずコーポレートサイトを一新しようという動きが始まり、CSRを推進する声も上がりました。他にも、組織としての行動指針や社員の定性評価にリンクさせようという動きも始まりましたね。
ー事業面での変化もありますか。
玉川:はい、以前より確実に事業方針が作りやすくなりました。
自分たちの事業領域を決める上で迷いがなくなりましたね。極端に言うと、5年前は「北海道だからうちでカニを売ろうか」という話があったんですよ。もちろん売らないですけど、なぜカニがだめなのかという理由を、当時はうまく説明できませんでした。でも、今はちゃんと言える。
また、ミッションの中身が「良質なものを作る」という意味合いが強いので、たとえばプライベートブランドを作るときのコンタクトの性能も、社内の品質チェックが厳しくなりました。「この商品は、このミッションを掲げるカズマとして出せるものなのか」という基準が、みんなの頭の中に生まれたんですね。
ミッションステートメントは、作っただけではあまり意味がなく、会社として実際に行動に移していくところが肝心だと思います。
ー一連のプロセスを伴走した北川さんから見て、カズマさんはどんな会社ですか。
北川:成長意欲が非常に高く、一方で今の自分たちではダメだという危機感も持っている、すごくバランスがとれた企業だと思います。幹部の方とお話しすると、そういった成長意欲や危機感を共通言語のように語られるので、今後伸びていく企業の特徴を兼ね備えているなと思います。
僕らは「成長に寄り添う」をキーワードにしていますが、まず企業様に成長意思があるかどうかが成長する上ではとても大切な要素です。現状維持でいいやとか、危機感はあるけれど本気で変えようと思っていない会社が多いんですね。
カズマさんからは、前進するために、現状よりも会社を良くしていきたいという気概が物凄く伝わってくるんです。だから僕らもそれに対してどういうことができるか本気で考えますし、とことん寄り添いたいと思います。
僕らを本気にさせてくれる熱いものがあるのを感じます。
北海道から大きく羽ばたく
ー最後に、今後のビジョンを教えてください。
玉川:最初にもお話した通り、コンタクトレンズ市場はコモディティ化が進み、他社と差をつけるのが難しくなっています。長いスパンで見ると、コンタクトレンズ以外の商品を売ることも視野に入れています。
それがなんでもいいとなると脈絡がなくなってしまいますが、ミッションステートメントができたことで、厳選して考えることができるようになりました。お客様のバリューの幅を広げられるようなチャレンジを、今年も行なっていきます。
北海道でECをやることはハンディキャップだと言われることもありますが、僕は北海道からでもできると信じています。リテラシー的には東京とのギャップがあるんでしょうけど、ソウルドアウトさんや地元の企業さんと連携して、その穴を埋めていきたいと思っています。
北川さんもそうですけど、北海道に住んでいる人って、北海道愛が強いんですよ。
北川:そうですね。北海道にいたいけれど、いれないから東京に出てしまう人って多いと思うんです。だからこそ、「北海道でもできる」というメッセージは大切で尊いと思いますし、カズマさんはまさにそれを体現していると思います。
僕らは成果でお返しすることが唯一無二の価値だと思っているので、任せていただいているプロモーション領域での支援に加えて、企業同士のアライアンス支援など、新たな領域を開拓していかなければいけないと思っています。
「ともに覚悟する。ともに挑む。」という言葉を体現していきます。
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